猿若祭二月大歌舞伎 昼の部『新版歌祭文』『釣女』『籠釣瓶花街酔醒』歌舞伎座

猿若祭二月大歌舞伎 昼の部『新版歌祭文』『釣女』『籠釣瓶花街酔醒』歌舞伎座
歌舞伎座で「猿若祭二月大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目は『新版歌祭文 野崎村』です、4年前に文楽で拝見していますが、やはりお光が良い。

配役
久作娘お光:中村鶴松(中村屋)
丁稚久松:中村七之助(中村屋)
油屋娘お染:中村児太郎(成駒屋)
百姓久作:坂東彌十郎(大和屋)
後家お常:中村東蔵(加賀屋)

のれんからチャキっと登場するお光、出てきた瞬間にこれは良い!と感じる。文楽のお光と違い、大根の切り方とか早く美しくて器用ですが、お染に対する焼き餅の焼き方が可愛く、児太郎さんのお染も、お光との体の大きさ、喋る速度などお嬢と娘の対比が良い。「びびびび」x「アヒル口」、畳上のお尻回転、包丁と鏡を間違いなどなど最高にチャーミング。しかしながら、この手の心中物の問題の原因となっている男のカスっぷりはなんなんでしょう。嫌い。最後の文楽らしいじっとりした別れの場面、人形ならまだしも、人間にはこの間は難易度が高いのでは。しかしながら無理して2人に笑顔で別れる生き方は不器用なお光にグッと来ました。素晴らしい。

2本目は狂言『釣針』をもとにした松羽目物『釣女』です。

配役
太郎冠者:中村獅童(萬屋)
大名某:中村萬太郎(萬屋)
上臈:坂東新悟(大和屋)
醜女:中村芝翫(成駒屋)

獅童さんのやり過ぎアレンジと踊りのもったりさ、無駄な存在感は少し気になりましたが、萬太郎新悟カップルの瑞々しさ、芝翫さんの体のでかい醜女が怖い。抱きつかれた大名某も笑っちゃうわ。演者が皆楽しそうでほっこり。

最後は『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』、よくかかる演目ですが、コロナの公演中止などなどで見る機会がなく初めて拝見。

配役
佐野次郎左衛門:中村勘九郎(中村屋)
兵庫屋八ツ橋:中村七之助(中村屋)
兵庫屋九重:中村児太郎(成駒屋)
下男治六:中村橋之助(成駒屋)
兵庫屋七越:中村芝のぶ(成駒屋)
兵庫屋初菊:中村鶴松(中村屋)
遣手お辰:中村歌女之丞(成駒屋)
女中お咲:中村梅花(京扇屋)
若い者与助:中村吉之丞(播磨屋)
絹商人丈助:大谷桂三(十字屋)
絹商人丹兵衛:片岡亀蔵(松嶋屋)
釣鐘権八:尾上松緑(音羽屋)
立花屋女房おきつ:中村時蔵(萬屋)
立花屋長兵衛:中村歌六(播磨屋)
繁山栄之丞:片岡仁左衛門(松嶋屋)

名シーンが色々ありましたが、仁左衛門さんの格好良さはなんなんだ。歩き方、もたれ方、着物を着るシーンの帯をパンッと叩く仕草など一挙手一投足が格好良過ぎる。脇役も非常にしっかりしていて2時間全く飽きさせない。特に旦那に厚い下男治六役の橋之助君、がっくり肩を落とす次郎左衛門を慰める優しい九重が良く、初菊と治六も良い仲になって欲しかったな。そして芝のぶさんの綺麗なお姿を長く見られて嬉しい。しかしながら八ツ橋は追い詰められていたとはいえ、もっとうまい言い方はなかったのか。演技よりも初見のための切ない内容にやられてしまいました。

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