歌舞伎座で「芸術祭十月大歌舞伎 第二部」を拝見しました。1本目は『祇園恋づくし(ぎおんこいづくし)』です。
配役
大津屋次郎八/大津屋女房おつぎ:中村鴈治郎(成駒家)
指物師留五郎/芸妓染香:松本幸四郎(高麗屋)
手代文七:坂東巳之助(大和屋)
使いの者清助:大谷廣太郎(明石屋)
おつぎの妹おその:片岡千之助(松嶋屋)
茶店亭主金平:中村寿治郎(成駒家)
持丸屋女房おげん:市川高麗蔵(高麗屋)
岩本楼女将お筆:片岡孝太郎(松嶋屋)
持丸屋太兵衛:中村歌六(播磨屋)
2015年の「八月納涼歌舞伎」でも拝見している演目ですが、鴈治郎さん、幸四郎さんが2役を勤めるのが見所。「京都三条木津屋次郎八の家の場」「高台寺下岩本楼の座敷の場」、おつぎ、次郎八の「悔しい〜」の叫びで終わるのが楽しい。次郎八、おつぎは似た者夫婦、二役を生かしたくすぐりが楽しい。おつぎが別嬪さんだとは思えんが。。。珍しい女方の幸四郎さん、お顔の色が違う2役はなかなか大変そう。次郎八の事を本気で嫌がる芸妓染香役、「高台寺下岩本楼の座敷の場」で次郎八から逃げる際の体を張ったダイビングに爆笑。しかし京都の人ってこんな裏表?のある人ばっかりなのか?「薬師堂の境内の場」では、妹おその(姉妹全然似てない!)のお願い事にひたすら勘違いする留五郎が楽しく、その後にはちゃんと格好良い見せ場があるのが良い。最後の「四条河原料亭の場」では、同じく染香に入れ揚げていた太兵衛が、染香が京都から出ていったと知って凹む姿が、先ほどの威勢の良さそっちのけで、歌六さんのお顔が情けなさ過ぎて爆笑、女房おげんといつまでも仲良く、とても素敵な凹みっぷりでした。ストーリーもシンプルで単純に笑える演目、とても良かったです。
2本目は狂言の『釣針』をもとにした松羽目物『釣女(つりおんな)』です。
配役
太郎冠者:尾上松緑(音羽屋)
大名某:中村歌昇(播磨屋)
上臈:市川笑也(澤瀉屋)
醜女:松本幸四郎(高麗屋)
幸四郎さんの女方2連発。醜女のお役ですが、とても楽しそうで、だんだん可愛く見えてくるから不思議。きりりとした美人の笑也さんとの対比も良い。松緑さんはもう少し遊びがあってもいい気がしますが、最後は逆に女性が男性を釣り上げる、なんだかんだで幸せに暮らしそうな太郎冠者と醜女の姿が想像されて嬉しくなりました。ルッキズムやらなんやら妙な言葉も聞かれるこの頃ですが、おおらかに朗らかに。千穐楽に拝見予定の第一部も楽しみにしております!
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