令和4年初春歌舞伎公演『通し狂言 南総里見八犬伝』国立劇場

令和4年初春歌舞伎公演『通し狂言 南総里見八犬伝』国立劇場
ずっと見てみたかった『南総里見八犬伝』、もちろん曲亭馬琴の原作も拝読済みです。

配役
犬山道節:尾上菊五郎(音羽屋)
犬坂毛野:中村時蔵(萬屋)
網乾左母二郎/犬飼現八:尾上松緑(音羽屋)
犬塚信乃:尾上菊之助(音羽屋)
犬田小文吾:坂東彦三郎(音羽屋)
犬川荘助:坂東亀蔵(音羽屋)
蟇六娘浜路:中村梅枝(萬屋)
犬村大角:中村萬太郎(萬屋)
横堀在村:市村竹松(橘屋)
甘利掻太:市村光(橘屋)
犬江親兵衛:尾上左近(音羽屋)
軍木五倍二:市村橘太郎(橘屋)
大塚蟇六:片岡亀蔵(松嶋屋)
馬加大記:河原崎権十郎(山崎屋)
蟇六女房亀笹:市村萬次郎(橘屋)
簸上宮六:市川團蔵(三河屋)
足利成氏:坂東楽善(音羽屋)
扇谷定正:市川左團次(高島屋)

期待を高める厳かなオープニングから序幕「(武蔵)大塚村蟇六内の場」、犬塚信乃の出立の場面、少し長め。悪どいけど憎めない片岡亀蔵、市村萬次郎さんの蟇六夫婦が良い。木製の「どろん」が出てきて、「一富士二鷹三茄子から国立劇場55周年」のサービスが楽しい。「本郷円塚山の場」の場では浜路が惨殺、塚から浜路の異母兄弟の犬山道節が突然出現しますが、もう少し早く来られなかったのか(謝ってましたが)。。。この後のだんまりが個人的にはクライマックスだった。相撲取りで力持ちの犬田小文吾役の彦三郎さんが凛々しくて素敵、毛野はずっと納屋に潜んでいたのか。8人の犬士がお互い知らないながらも勢揃いして形にきまるのは感動があります。幕が閉じてからの松緑さんと左近君(犬の被り物が素敵)の立ち回り、小さい体を精一杯大きくみせようとしている左近君が良い。松緑さんはやはり台詞が一本調子か。動きは凄く良いのに。。。

35分の休憩挟んで二幕目「(下総)滸我足利成氏館の場」「同芳流閣の場」、見所は屋根上での信乃と現八の闘いもなかなかの迫力ですが、足利成氏役の楽善さんの存在感が好き。短い休憩を挟みながら三幕目「(下総)行徳古那屋裏手の場」、四幕目「(武蔵)馬加大記館対牛楼の場」、大詰「(上野)扇谷定正居城奥庭の場」、女田楽あさけのに化け、唐風の剣の舞を舞う毛野にあっさり騙される適役の馬加大記、扇谷定正があっという間にやれれてしまうのは、物足りないかも。最後は八剣士揃って華やかに幕切れ。

原作を読んでいると、とても駆け足で物足りないが、見られて良かった。ちゃんとやろうと思うと1日掛かりで上演しないと駄目ですね。しかし、昨年の公演に比べるとお客様も入っているのが嬉しい。国立劇場、今年もお世話になります。

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