紀尾井ホールで「和生・勘十郎・玉男三人会 第二回」を拝見しました。チケット発売時間に出遅れ、前方の席が確保できなかったのがとても残念。今回は桐竹勘十郎さんが選んだ演目。一本目は「恋女房染分手綱 重の井子別れの段」です。
配役
太夫:豊竹呂勢太夫
三味線:竹澤宗助
人形
乳母重の井:吉田和生
本田弥三左衛門:吉田玉男
馬方三吉:桐竹勘十郎
調姫:吉田玉延
初めて拝見した演目ですが、現在では今回の十段目しか上演されないそう。調姫は姫に珍しく整った顔じゃないのが可愛い。若手が遣うことが多い子供の人形ですが、ベテランになると無性に遣いたくなる魅力が三吉にはあるそう。勘十郎さんが遣うのは昭和56年以来、42年ぶりだとか。子供ではありますが、馬子としてある程度自立しており、年齢よりは随分達観した不思議なキャラクター。抱きしめたいのに、置かれた状況により、素直に感情を示せない重の井が辛い。最後の親子の心情を写した「鈴鹿馬子唄」、しかもそれを三吉が一生懸命唄う姿にはグッときます。
二本目は「伊賀越道中双六 千本松原の段」です。
配役
太夫:竹本錣太夫
三味線:鶴澤清介
胡弓:鶴澤清方
人形
呉服屋十兵衛:吉田玉男
親平作:桐竹勘十郎
娘お米:吉田和生
池添孫八:吉田簑紫郎
座談会でお三方も、途中からなので感情の入れ方が難しいと仰っていましたが、見ている方も然り。一番感激したのは人形よりも竹本錣太夫さんの語り。文楽用ではないホール、後方で見ていても非常に聞き取りやすく、耳馴染みが良いのにびっくり。近くで聞いていると分からないこともあるのか。
最後はお楽しみの吉田和生、桐竹勘十郎、吉田玉男、聞き手の児玉竜一による「座談会」。重の井の頭は吉田文雀師匠の大切にしていたものだそう。平作の人形は、とても軽いのですが、年寄りなので重そうに使わなくてはいけないのが難しいとか色々。勘十郎さんの死にかけている人を遣っている時(肩の動きとか)が楽しいという言葉はなかなかブラック。そして常に寡黙な玉男さん、女形は恥ずかしくてできないそうですが、次回の玉男さんの会も楽しみにしております!
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