歌舞伎座で「六月大歌舞伎 夜の部」を拝見しました。先週「夜の部」の入場に並んでいたところ、チケットがまさかの同日「昼の部」のものだったこともあり、1ヶ月以上ぶりの歌舞伎。しかしながら「夜の部」というか仁左衛門さんのいがみの権太を見られて本当良かった!!
配役
いがみの権太:片岡仁左衛門(松嶋屋)
弥助実は三位中将維盛:中村錦之助(萬屋)
若葉の内侍:片岡孝太郎(松嶋屋)
お里:中村壱太郎(成駒屋)
主馬小金吾:片岡千之助(松嶋屋)
六代君:中村種太郎(成駒屋)
権太伜善太郎:中村秀乃介(成駒屋)
弥左衛門女房お米:中村梅花(京扇屋)
猪熊大之進:片岡松之助(緑屋)
権太女房小せん:上村吉弥(美吉屋)
梶原平三景時:坂東彌十郎(大和屋)
鮓屋弥左衛門:中村歌六(播磨屋)
まずは「木の実の段」から。音羽屋の演出と随分違うのにびっくり。まるで子供のように無邪気に悪事を働くようですが、チャーミングで本当憎めない。縁台に乗って小金吾をからかう場面も良いな。子供に「帰ろう」といわれて豹変する様も非常に自然。小せんとのイチャイチャも微笑ましい。続く「小金吾討死の段」は会場が暗くなることもあり、寝落ち。この段、難しいよね。そして最後の「すし屋の段」は絶品!仁左衛門さん始め最高の座組、溢れる気品の錦之助さんの維盛、壱太郎君のお里、梅花さん、歌六さんも皆素晴らしい出来。母の膝枕の場面はニヤニヤ、母を騙りながらも子供っぽいワクワク感、母への屈折した愛情が垣間見える。鮓桶が入れ替わる部分も、母お米から金を騙る場面の嘘泣きもお茶じゃなく笹の葉?を入れた花瓶の水を使う部分もとても自然。首実検の場面で本火を使う趣向も素敵。お月さまも寝ているので、暗いはずですよね。権太はかなり感情むき出しで手拭いを目の上に乗せたり、「煙たいなぁ」と言いながら涙を拭ったり、陣羽織で思わず頭を覆ってしまう場面はこちらも涙が。行ってしまった梶原一行に呼びかける場面も「木の実」の部分の家族への愛情表現と対比が見事。
弥左衛門に腹を刺されてからの部分が結構長くて、退屈してしまう時もあるのですが、目が離せない。仁左衛門さんの「権太は勘当を受けていても父の弥左衛門のことが好きで、息子の善太はかわいい。権太一家の温かみをお客様に訴えることで、後の『すし屋』での妻子との別れ、悲劇が浮かび上がります」という、正しく言葉通り。言葉通りに舞台ができる役者がどれくらいいるでしょうか。もともと上方の浄瑠璃のものなので、やはり上方役者の方がばっちりくるのか。浄瑠璃の魅力だと思っているクドさ、やり過ぎ感が十分に表現されているのがとても良かった。素晴らしい!
二本目は同じく「義経千本桜 川連法眼館の段」です。
配役
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐:尾上松緑(音羽屋)
源義経:中村時蔵(萬屋)
駿河次郎:坂東亀蔵(音羽屋)
亀井六郎:尾上左近(音羽屋)
飛鳥:市川門之助(滝野屋)
川連法眼:中村東蔵(加賀屋)
静御前:中村魁春(加賀屋)
松緑さんの狐忠信は初めて拝見しましたが、見た目はぱっちりお目々にお顔が丸くて可愛らしいのですが、動きがややもったり。階段からの出もちょっと窮屈そうに見えてしまいます。前半の義経と静御前の部分も冗長ですが、全編眠気を催すほどではない。久しぶりの歌舞伎、仁左衛門さん、最高です!!
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