皇居外苑、二重橋前の特設会場で開催された「日本博皇居外苑特別公演 祈りのかたち 初日」にお伺いしました。天気が危ぶまれましたが、少し早いか花曇、あまり天気が良いと眩しかったでしょうから丁度よし。荷物検査、金属探知機によるチェックの後入場。1席ずつ開けられた座席(パイプ椅子)の上にはトートバック、中にはブランケット、ざぶとん型カイロ、消毒用ウェットティッシュなども置かれており、いたれりつくせり。正面の後方の席でしたが、思ったより舞台との距離も近くて見やすい。しかし、何という贅沢で清々しい環境でしょうか。
配役
まずは能楽『翁(おきな)観世清和(観世流)』から。銀座和光の鐘の音が鳴ると共に厳かな雰囲気の中、上演開始。観世清和さん、三郎太君、野村萬斎さん、裕基君のダブル親子共演、しかし、今日の清和さんの気迫は凄まじかったですね。三挺の小鼓による囃子から、露払いのための「千歳の舞」に続いて「翁の舞」、白式尉の面は非常に美しく、全てを包み込むような寛容で荘厳な舞、そして目出度い詞章は、えも言われぬ感動があります。翁帰りの後は、三番叟の勇壮な舞、黒式尉の表を付け、神楽鈴を使った「鈴の段」で舞い納めます。後見に片山九郎右衛門さん、地謡に梅若実さんと後ろもとても豪華、実さんは立ち上がるのも大変そうでしたが、大丈夫でしょうか(余計なお世話か)。また、体調不良でしょうか、大好きな小鼓の大倉源次郎さんが出演されていなかったのも心配。基本的に能を見る際は予習が必要かと思いますが、『翁』に関しては感じるしかない。「能にして能にあらず」と言われるだけあり『翁』は特別な演目、寿命が延びる気がいたします。素晴らしい。
配役
15分の休憩を挟んで一調『杜若(かきつばた)金春憲和』、舞囃子『羽衣(はごろも)友枝昭世(喜多流)』、狂言『三本柱(さんぼんばしら)野村万作(和泉流)』と続きます。太鼓と謡のみの一調は、凄い。緊張感有ります。『三本柱』は昨年大蔵流で拝見していますが、和泉流の方が淡白な印象、笑える演目ではないですが、にやにやしながら見ていられます。これも祝言の曲、やはり野村万作さんの醸し出すオーラは格別です。
最後は能楽『祝言之式 高砂(たかさご)観世清和(観世流)』、松の化身の老夫婦が出てくる前半をカットした半能です。金色(に見えただけか?)の面を付けた住吉明神の神舞の堂々たる振る舞い、清和さん、この演目でも素晴らしかったですね。
舞台後方には本物の松、鳥が飛んでいたり、途中でカラスの声や車のクラクションが聞こえたり、薪能も良いですが、昼間に外で拝見するお能も大変に素晴らしい。今回皇居付近での公演は100年ぶりだそう。生きている間に、こういった機会が再び巡ってくるかはわかりませんが、この皇居外苑という特別な場所での舞台を見られたことは思い出深い体験、『翁』は本当に素晴らしかった。14時15分終了予定でしたが、終了したのは40分頃、15時から国立劇場で歌舞伎鑑賞予定でしたので、急いでタクシー掴まえてダッシュと慌ただしい。世界の安寧と平和を心よりお祈りいたします。
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