「三月大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』夜の部 Bプロ」歌舞伎座

歌舞伎座で「三月大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』夜の部 Bプロ」を拝見しました。まずは「五段目 山崎街道鉄砲渡しの場、二つ玉の場」「六段目 与市兵衛内勘平腹切の場 」から。

配役
早野勘平:中村勘九郎(中村屋)
女房おかる:中村七之助(中村屋)
千崎弥五郎:坂東巳之助(高砂屋)
斧定九郎:中村隼人(萬屋)
判人源六:片岡松之助(緑屋)
母おかや:中村梅花(京扇屋)
一文字屋お才:中村魁春(加賀屋)
不破数右衛門:中村歌六(播磨屋)

昼の部、Aプロに続き、勘九郎さんの自害の場、「六段目」は、けっこう退屈に感じることが多いのですが、前半の勘平と一文字屋がごちゃごちゃしている場面は少し寝落ち。にしても脇の配役が素晴らしい、母親にしか見えない梅花さん、風格のある魁春さんの一文字屋お才が抜群。自分が義父を殺っちまったと気付いてからの腹切りして果てるまでの勘九郎さんの演技が絶品。世話物、時代物で歌舞伎らしさを最も体現しているのはこの方ではと感じる。

続いてもお馴染みの「七段目 祇園一力茶屋の場」です。

配役
大星由良之助:片岡仁左衛門(松嶋屋)
寺岡平右衛門:尾上松也(音羽屋)
赤垣源蔵:中村松江(加賀屋)
富森助右衛門:市川男女蔵(滝野屋)
矢間重太郎:中村亀鶴(八幡屋)
大星力弥:尾上左近(音羽屋)
仲居おつる:中村歌女之丞(成駒屋)
鷺坂伴内:市村橘太郎(橘屋)
斧九太夫:片岡亀蔵(松嶋屋)
遊女おかる:中村七之助(中村屋)

今まで拝見したおかる平右衛門の場面で、七之助さん、松也さんの今回のコンビが一番良かった。朴訥で正直な平右衛門に松也さんのニンが意外にぴったり。同じく純なおかる、玉三郎さんっぽさを感じる演技がコミカルで楽しい。2人も声が大きいのも良い。そして仁左衛門さん、とにかく演技が細かくて、その感情は3階席までビリビリ伝わる。酔っ払いながらも、おかるの落とした櫛を刺す姿などに色気を感じ、時折見せる鋭い眼光に強い圧力を感じる。本日仁左衛門さんの81歳の誕生日だそうですが、このお年で、この演技。人間業とは思えません。

最後は「十一段目 高家表門討入りの場、奥庭泉水の場、炭部屋本懐の場、花水橋引揚げの場」、短い時間で舞台セットが頻繁に変わり、大道具の方たちの活躍が素敵で登場人物もいっぱいで目にやり場に困るサービス場面。

配役
大星由良之助:片岡仁左衛門(松嶋屋)
小林平八郎:中村萬太郎(萬屋)
竹森喜多八:中村橋之助(成駒屋)
赤垣源蔵:中村松江(加賀屋)
富森助右衛門:市川男女蔵(滝野屋)
矢間重太郎:中村亀鶴(八幡屋)
木村岡右衛門:中村玉太郎(加賀屋)
大鷲文吾:中村歌之助(成駒屋)
大星力弥:尾上左近(音羽屋)
勝田新左衛門:中村吉之丞(播磨屋)
佐藤与茂七:澤村宗之助(紀伊国屋)
杉野十平次:市村光(橘屋)
近松半六:市村竹松(橘屋)
倉橋伝助:大谷廣太郎(明石屋)
織部弥次兵衛:大谷桂三(十字屋)
寺岡平右衛門:尾上松也(音羽屋)
原郷右衛門:中村錦之助(萬屋)
服部逸郎:尾上菊五郎(音羽屋)

義太夫の詞章がちょっと稚拙と思ったら後から改変されている場面だとか。「奥庭泉水の場」は萬太郎君の小林平八郎、橋之助君の竹森喜多八の闘いがメイン。流れの上ではそれほど必要とは思えませんが、こういう場面も必要なのか。花道から馬に乗った足利家直参の服部某が突然登場しますが、もう菊五郎登場で問題ないのでは。仁左衛門さんと菊五郎さんが芝居で同じ舞台に立つのなんて、もしかしたらもう見られないかもと思うと感慨深い。仁左衛門さんの由良之助は本当に凄かったが、脇役も素敵な忠臣蔵は面白い。定期的な通し上演を願います。














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