「優しいほとけ・怖いほとけ」根津美術館

「優しいほとけ・怖いほとけ」根津美術館

仏像好きにつき気になった根津美術館の企画展「優しいほとけ・怖いほとけ」。メインの仏の展示は全体の半分ほど(もともとそれほど広くない美術館の中で)で物足りない印象。半分はお馴染みの古代中国の青銅器(饕餮 とうてつ)、鍋島、茶道具の展示となっています。

根津美術館のシグネチャー、観覧券にもなっている青銅器『双羊尊』はいつ見ても、チャーミングな無表情が素敵。この形状のものはロンドン大英博物館の2体のみで非常に珍しいもの。ドリトル先生に出てくるオシスオサレツという珍獣を思い出すのですが、もしかして作者のヒュー・ロフティングもこれを見たのかも。ちなみに「饕餮」は、体は牛か羊で、角、牙、爪、人の顔などを持つ中国神話の怪物のこと。異形のものを青銅器に刻み魔除けに使用されたそうです(作られた当時は饕餮とは呼ばれておらず、刻まれた動物も実際饕餮かはわからない)。展示されているものには、動物(キリン?牛?龍?)が刻まれていたり、その形状になっているものが色々あるのですが、怖い衣装は全くなく、どれもぼんやりした感じで可愛いのです。

鍋島は小品を集めたもの。面白い形状の皿が多く『瑠璃釉放射状文変形皿』は皿の形も漫画の太陽のような絵付けも素敵。蕪や大根の皿もいいですね。納涼の茶道具の展示は『舟形銚子』がお気に入り。鉄の舟形に磁器の蓋を合わせたもの。蓋には中国風の船遊びの絵、取っ手は水鳥で涼しげ。これ欲しい。

仏の展示は、四天王の白描図が美しい。平安、鎌倉の着色図はどうしてもぼんやりしていた細部が(概略すら)全然わからないのですが、白描図は細部までよくわかる。たくさん展示されていた愛染明王は片側3本ずつの6本腕で左の一番上の手に何を持っているかで祈祷の目的が変わるそう。日輪に三本足のカラス(八咫烏)は息災法!必ず弓と矢を持っておりキューピッドとの関連も興味深い。『釈迦三尊十六善神像』の深沙大将(じんじゃだいしょう)、この絵のはあまり怖くないですが、実際は髪逆立ち首に髑髏を付けた忿怒の表情。ただお腹に子供の顔が!何でこうなったんでしょう。不思議。デビルマンに登場する亀の悪魔ジンメンを想起。来月上野の森美術館で開催する「画業50年“突破”記念 永井GO展」は絶対行かねば!中国(宋代から?)では閻魔と同一というお地蔵様もたくさんいらっしゃり、仏はやっぱり心が安らぎました。

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