日本橋社会教育会館ホールで「さん喬あわせ鏡」を拝見しました。
開口一番「弥次郎」柳家小吉
上方落語の『鉄砲勇助』は桂枝雀さんのCDで聴いていますが、江戸版の「弥次郎」は初めて聞きました。鴨狩からの鴨芽が楽しい。下げは「あぁ山伏、どうりで上手くホラを吹いた」
「片棒」柳家さん喬
弟子の喬太郎さんが本日退院との報告、入院していたことも知らなかった。。。さん喬師匠の「片棒」は初めてかも。ゲストがいらっしゃるので、少し短縮版。やはり銀次郎のはじけっぷりが楽しい。
「高津の富」露の新治
上方版は生では初めて聞いたかも。よくCDで聴いている枝雀さんのものとほぼ内容は同じ。二等が当たる恵比寿の夢を見た男の件が非常に面白い。登場人物、悪い人も良い人も愛嬌があって良いです。
「まめだ」露の新治
歌舞伎役者が登場する一度聞いてみたかった落語、上方の歌舞伎役者、市川右團次の弟子、実家は「びっくり膏」という軟膏のみを販売している薬屋の市川右三郎と子狸(まめだ)の話。右三郎が家で夕食を食べる所作が素敵、白菜の漬物を食べる時のシャクシャク音まで再現しているのに驚きます。内容だけ聞くとそこまでの話ではない気がしますが、実際聞いてみると、右三郎の優しさと叶わなかった子狸との交流に、じんわりと心に深く染み入ります。新治師匠の先ほどとは違うムード、銀杏色の着物がとても良い。下げは「狸仲間から仰山、香典が届いたわ」
「ちきり伊勢屋」柳家さん喬
2年ぶりのさん喬師匠の「ちきり伊勢屋」、1時間以上の長講、鳴物入りの若旦那清次郎とおみつの雪が降る中の別れの場面の情景描写の美しさ、葬式が終わり埋められかけるのは笑える。緩急の付け方もよく長いですが退屈することはありません。紆余曲折あり無一文にまでなりましたが、最後はハッピーエンドで、心が温まる寒い日にぴったりの演目でした。
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