初春歌舞伎公演 昼の部『祇園祭礼信仰記』『御存 鈴ヶ森』『雪蛍恋乃滝』新橋演舞場

初春歌舞伎公演 昼の部
新橋演舞場「初春歌舞伎公演 昼の部」を拝見しました。昨年はお休みでしたので2年振り。初めて見る演目ばかりで楽しみです。

1本目は『祇園祭礼信仰記 金閣寺』から。宝暦7年(1757)初演の人形浄瑠璃、全5段の中の4段目が「金閣寺」、ありがちですが、人間関係がやや複雑です。ごく単純に説明すれば、小田春永(織田信長)の家臣此下東吉(豊臣秀吉)が、足利将軍義輝を殺した逆賊松永大膳をやっつけるお話。

配役
雪姫:片岡孝太郎(松島屋)
此下東吉実は筑前守久吉:市川右團次(高嶋屋)
十河軍平実は佐藤正清:市川九團次(高嶋屋)
松永鬼藤太:澤村國矢(紀伊国屋)
慶寿院尼:市川齊入(高嶋屋)
狩野之介直信:大谷友右衛門(明石屋)
松永大膳:中村獅童(萬屋)

このお話での悪役松永大膳は獅童さん、軽いお役やトリッキーなお役だと良いのですが、古典ではもう少し重厚感と抑揚が欲しいか。『鎌倉三代記』の時姫、『本朝廿四孝』の八重垣姫とともに三姫と呼ばれる雪姫は片岡孝太郎さん、お顔もお声もあまりグッとこない。仁左衛門さんは大好きなのに何でだろう。「布団の上の極楽責め」って表現好きです。囲碁対決の場面では、空気を読まず、急に声を掛けてくる雪姫が凄い。井戸に落ちた碁笥を手を濡らさず拾う場面はかなりの荒技。物理的に可能なのか試してもらいたい。この物語で重要な宝剣「倶利伽羅丸」は、雪姫の祖父雪舟が唐で明帝より賜り、雪姫の父雪村が所有していたのですが、松永大膳が殺害した上で奪い現在所有。この刀には龍の文様が刻まれており、朝日に映すと不動の尊体、夕日に向かえば龍の形が現れる霊剣。滝を登り降りするミニ金龍可愛いです。「爪先ねずみ」の場面では、どばどば落ちてくる花びらに場内から笑いが、上から見るとその後の惨状が綺麗でないので、下席から見た方が楽しめそう。人形振りで演じることもあるらしいから是非拝見してみたいものです。最後は此下東吉役の右團次さんが桜の木に登って慶寿院を救出したりと大活躍、素敵な安定感!最後は東吉、軍平、大膳の3人で決まりますが、獅童さんの帯が喋々みたいで可愛かったですね。全体としてはやや退屈さを感じる演目でした。

2本目は『御存 鈴ヶ森』、内容としては白井権八と幡随院長兵衛が出会うだけのお話ですが、歌舞伎らしくて楽しい演目です。

配役
幡随院長兵衛:市川海老蔵(成田屋)
飛脚早助:市川九團次(高嶋屋)
白井権八:中村莟玉(高砂屋)

顔、手、足、尻、鼻を切られ削られる雲助たちも憎めません。甘やかな果汁滴る莟玉君の美少年っぷりを楽しむのみ!満足!

続いては新作歌舞伎の『雪蛍恋乃滝』、「NINJA KABUKI」とか「稲妻」とか何やらダセーなと思っていたのですが、作・演出が秋元康さんということを知り・・・。

配役
稲妻:市川海老蔵(成田屋)
月姫:中村児太郎(成駒屋)
幼少の稲妻:堀越勸玄(成田屋)
茶頭宗休:市川齊入(高嶋屋)
政虎:市川右團次(高嶋屋)
清宗:中村獅童(萬屋)

最初に勸玄君の立ち回り。必要ですよね。全体的に『金閣寺』と被ってる感じ。獅童さんの悪役(メイクも似てる)とか幽閉される姫とか、姫を救う感じとか、どばどば雪とかとか。最初に忍者を持ってきて、最後に金閣寺と上演順を入れ替えた方が綺麗だったのでは。ウラン、プルトニウム、炎の大玉などという物騒なものが出てくるので、どんな大きい話になるのかと思ったら、特に何てことのない、特に風刺もない至極浅めなお話でした。上演時間も2時間くらいあるのかと思ったら1時間弱しかなく、内容詰め込みすぎ。歌舞伎らしくない(通常の演劇では普通の)演出も成功しているとは思い難い。シェイクスピア舐めんな。ちなみに「雪蛍」はお尻ふわふわ(に見える)のアブラムシのこと。今度「忍者ハットリくん」歌舞伎やって欲しいです。あぁ、ついやさぐれて口が悪くなってしまいましたわ。ごちそうさまでした。

※3階席2列目で拝見していたのですが、朝電車が遅延したらしく遅れてくる方続出。さらに席を間違えるおじさん(何故1列目と2列目を間違える?)、途中でどっかにいっちゃう方や遅刻者に前を通られ(何故に良い場面で毎回!)、遅れてきた方が持っていた杖を落とし、前の席の方の頭にヒット、さらにけっこうな声量で謝罪と、色々あって集中できなかったのは残念な金閣寺。ビニール袋のガサガサはもちろん、ジッパーの開け閉め、紙の音とかも響きます。そして空中にも見えない境界線は、有る。新橋演舞場は前は拾いが、横は狭い気がする。足がはみ出すのはもちろん良くないのですが、鞄を探ったりする時の「肘」とかけっこう怖いのです。やや1列目の方がやや前のめりで、頭で舞台が見えないのにも困ったが、背の低い方だと手摺が気になるだろうから、そこは理解できます。はい、明日は吾が身でございます。

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