10月定例公演 能『春栄』/狂言『小傘』国立能楽堂

10月定例公演 能『春栄』/狂言『小傘』国立能楽堂
国立能楽堂で「10月定例公演」を拝見しました。

配役

狂言『小傘(こがらかさ)野村萬斎(和泉流)
分かりやすく笑えるお話。偽僧の連れの新発意(しんぼち)は「出家してまもない人」のこと。お経を読めないため「昨日通る小傘が 今日も通り候 あれ見さいたよ これ見さいたよ」をお経のような節を付けて唄うのですが、もうそれが面白くて、萬斎さんにぴったりの演目。田舎者が建立したお堂の堂守にまんまとスカウトされ、真面目に偽経を唄いますが、新発意が踊りだそうとするのを嗜める偽僧がおかしい。そのうち田舎人たちも興に乗り出しグルグル回り出し、案の定な結末に。小ささにびっくり、尼役の月崎晴夫さんがとてもいい味出してました。素晴らしい。

能『春栄(しゅんえい)今井泰行(宝生流)
平安時代末期、宇治橋合戦により伊豆国三島の高橋権頭の館に拘留されている春栄に会いに行く増尾種直。兄弟の情愛を描いていますが、こんなに台詞が多い演目も珍しく、シテ方は覚えるのが大変でしょうね。2回ほど飛ばしてしまったのも致し方無し。福王和幸さん、お顔も凛々しくお声も素敵。兄が弟の身代わりになるという感覚はあまり理解できない。春栄は何か特別な存在なのでしょうか。設定は14歳くらい?確かに話す内容を聞いていると只者ではない。男色の気も感じなくはないですが、高橋が引き取って育てたいというのも理解できます。シテの男舞も素晴らしかった。老い木も若緑。最後は高橋、兄弟共に鎌倉へ出立します。

こういう歌舞伎、現代劇にも通ずるような雰囲気の能は初めて拝見したので、とても新鮮でした。来月の蝋燭の灯りによる公演『鵺』も楽しみです!

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