3月定例公演 能『当麻』/狂言『鬼瓦』国立能楽堂


東京国立博物館で「当麻曼荼羅図」を見てからずっと気になっていた能『当麻』を拝見しに国立能楽堂へ!

配役

狂言『鬼瓦 (おにがわら)山本東次郎(大蔵流)』
太郎冠者は山本則重さんが代演、大名の装束の鳩の絵がメチャ可愛い。15分程度の短い演目ですが、面白い。京都の薬師如来が本尊の因幡堂に御礼参りにやって来た2人。破風の鬼瓦を見て泣き出す大名、鬼瓦が奥方に似ていたためというのは想像できたのですが、恐かったからではなく、懐かしくて泣いていたというのが非常に良い。「さぁ笑え!」、2人で「ハーッハッハッ」で終わる「笑い留め」も素敵です。

『当麻(たえま)二段返(にだんがえし)観世清和(観世流)』
地謡の関根祥丸さん休演で川口晃平さんが代演、能楽の世界も色々大変なようです。謡曲を読むと短そうですが、2時間ほどの大曲。

ちょっと混乱してしまったのが前場ツレの化女は観音の化身と解説に記載があったのですが、劇中の門前の者の説明では中将姫とのこと(伝説では中将姫の前に現れ、助言したという老尼は阿弥陀、曼荼羅を織るのを手伝った女は観音の化身)。前シテとツレがと登場してすぐ、「となふれば 仏もわれも なかりけり 南無阿弥陀仏の 声ばかりして」は大好きな一遍上人の和歌。一番印象的な情景は宝樹の桜の説明部分。緋桜の枝に掛けて乾かす五色の蓮の糸、雪と雲の白、緑、紅、桜の花の緋色、空の青色の渾然一体の美しさ。中入り前の「雲に乗れてあがりけり紫雲に乗りて上がりけり」で杖を捨て、上るような直接的な動作が面白い。

後場はほぼ中将姫の美しい早舞に終始。小書き「二段返(にだんがえし)」により後シテ中将姫登場の際、太鼓を中心に囃子が特別な重みのある演奏、さらに中将姫の登場が、揚げ幕を半分巻き上げ(床几に掛けた状態)、一旦閉めた後、再び登場する半幕に。大倉源次郎さんの小鼓好きだなぁ。最後は「御法の舟」に乗り、夜明けに紛れてぼんやりと消えていきました。宗教的な要素が強すぎるので、そこまでの感動はありませんでしたが、見られて良かった。

前シテは石翁作「姥」、後シテは「増」、ツレは大和作「小面」でした。地謡に梅若実さんがいらっしゃたのですが、体調が心配。見に行けませんが靖国神社の夜桜能で「土蜘蛛」されるんですよね。どうかご無理なさらず。

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